アトミック・マーチ

はい!今日で3の紹介も終わりです。3のラストナンバー

「アトミック・マーチ」

前の曲「夢電車」で終わらせればしっとりといい感じでアルバム終わったんだと思います。しかし「あの手を握って」からの流れ、ちょっとメランコリックすぎるなと感じたので最後にバカみたいな曲でドッカンと終わらせたくなりました。そして作ったのがこの曲です。

この曲のアイデアも映画から来ています。アメリカのドキュメンタリー映画「アトミック・カフェ」です。この映画ドキュメンタリーというか資料集といった様相で初の核実験から冷戦までの核兵器に関する映像をまとめた作品です。プロパガンダ映画、ニュース映像、広報フィルムなどを一気に見れる訳ですがなんだか笑えます。放射線や被曝の事をまったく考えていなくて(知らない?)ただのでっかい爆弾として核兵器が扱われています。「はだしのゲン」などでピカドンの恐ろしさを叩き込まれた私たちにはなんだかお遊戯をいているようなコントを見ているような不思議な感覚になります。一ノ瀬屠殺彦が「アメリカ人は放射能、特殊能力得てヒーローになるぐらいにしか思ってないんすよ!」とか言っていて馬鹿馬鹿しい核兵器ソングの構想が出来上がっていきました。

でも今の北朝鮮の核兵器問題、Jアラートなったら建物に隠れるとか言っているんだから日本もあんまり変わらないのかなーと思います。というか100%死ぬ状況で生存率高める行動と考えればアトミック・カフェもそんなに馬鹿にできないかもです。

夢電車

3の曲紹介も大詰めです。十一曲目

「夢電車」

この曲、最初のアイデアはSFホラーでした。ワープが実用化された世界で起こるワープ事故。ワープアウトしたところに山があったり地中だったり人がいたりしたらどうなっちゃうんだろうと思いつき「フェラルディア計画」みたいな感じの話を考えていました。しかし、あれこれいじっている内に移動手段にまつわる恐怖って全部一緒なんじゃないかと思いました。それこそ自転車から遊園地の乗り物、飛行機まで。ワープ事故の恐怖よりこの「もしかしたら事故が起きるかも」と感じる一抹の不安、こちらの方がより身近で題材として優秀に感じたのでこっちを採用しました。一抹の不安を感じながらも交通機関を利用する。しかもデートだからウキウキしている。そんな曲になりました。

この曲の最大の特徴、電車の音を模したリズム。このアイデアはかなり前からあってシーケンサーで曲作っていた時、すでにこのアイデアで一曲作っていました。元ネタはジャズギタリスト、パット・メセニーの有名な曲「ラスト・トレイン・ホーム」やステップス・ア・ヘッドの「トレインズ」という曲。どちらも電車というか汽車のような「シュポ、シュポ、シュポ、シュポ」というリズムで作られている曲で非常にカッコイイです。そこで私はもっとドン臭い電車の音「ガタン、ゴトン」で曲をつくろうとしました。イメージは二両ぐらいしかないのんびりしたローカル線です。歌詞と曲のバランスが結構いい感じにとれている曲だと思います。

永久のワンダーランド

子供が早く寝てくれたので今日はもう一個記事書けそうです!3の十曲目

「永久のワンダーランド」

この曲、動画のコメントなどで「いい曲」「優しい曲」などのご感想をいただいています。自分でもイキグサレの代表曲の一つだと思っています。しかし「優しい曲」だとは思っていなくて、どちらかといえばかなりエグイ、下手したらイキグサレで一番残酷な曲なんじゃないかと思っています。完成したとき「このまま発表してもいいのかな、ちょっと表現柔らかくした方がいいんじゃないかな」と悩んだくらいです。

この曲作るきっかけになったのはとある事件です。詳細は忘れてしまいましたが「ある家に強盗が入り、母親とまだ乳幼児の子供を縛り逃走。結果赤ん坊は窒息死」という事件。酷く痛ましい事件です。「この母親は縛られて身動きできないまま自分の子供が死んでいくのを見ていたんだろうか」とか「なぜあの時鍵をかけなかったんだろうなんて一生後悔し続けなければいけないのか」とか考えてしまって頭から離れなくなってしまいました。数ヵ月後、店番のときたまたまかけてたラジオのニュースでこの母親が自殺した事を知ります。歩道橋の上から飛び降りてさらに車に轢かれたそうです。「この世は地獄なんじゃないだろうか」と思いました。せめて幽霊になって犯人を呪うぐらいのことしてもらわなければ無関係なのに私の頭が壊れそうです。

数年後、妻と飲んでいるとき「そういえば忘れられない事件があってさー」とこの事件のことを話しました。すると妻はスマホで検索、当時の2ちゃんのスレを見つけました。そこで得られた新情報。母親の狂言である事を疑われていた事。自殺した日に警察から取り調べ受けていた事。「そうか自作自演だったのか」と一瞬ホッとしたんですが赤ちゃん一人死んで、その母親も死んでいる事実は変わりません。なのに何故自分はほっとしたんだろう。この自分の心の動きが物凄く嫌で嫌で。

やっぱりこの世は地獄。いや地獄は悪人が責め苦にあうんだから分かりやすく合理的。この世は優しい気持ちや他人の気持ちを優先させると責め苦にあう不思議世界。ワンダーランドだ。逃げるのは多分死しかないだろう。

こういう歌です。かなり酷い歌だと思います。私は大好きです。

UMA

うーむ、また寝てしまい更新できませんでした。言い訳は見苦しいのでさっさと曲紹介行きます!3の九曲目

「UMA」

この頃のイキグサレは大体、曲と歌詞、同時進行で作っていてお互い干渉しながら完成させていました。この曲は珍しく曲だけ先に作った曲です。目指したのはズバリ「ファンク」。「ファンク風の」ではなくゴリゴリのファンクです。臭ってきそうなどファンクをアイドルがやったらカッコイイんじゃないかと思い作りました。かっこいいかどうかは分かりませんが自分ではかなり気に入ったようでこれ以降ファンクっぽい曲イキグサレでやるようになりました。

歌詞はUMA、いわゆる未確認生物を題材にしようとしたんですが「ネッシーやツチノコで曲作れるかなぁ」と結構悩んでしまいました。しかし「UMAは絶滅した生物の幽霊」というアイデアがポコンと出てきてそれからは一気に歌詞ができました。

歌詞に出てくるヒバゴンという猿人のUMA。広島県にある比婆山で目撃されたからヒバゴンなんですが広島のUMAという事で被爆したからヒバゴンだと思っていました。それを広島出身の架神くんにいったら「ひでぇな!」と怒られてしまいました。

あの手を握って

3の曲紹介も佳境に入ってきました。八曲目

「あの手を握って」

最近はあまり見ないですが怪談のパターンで手だけ出てくるのがあります。壁や天井、引き出しやふすまから手がニュッとでてくる奴です。妖怪にも誰も着ていない着物の袖から手がニューっと伸びてくる「小袖の手」というのがいます。私、この手だけの幽霊割と好きです。私が目が好きなのはずっと言っていますが目の次に好きな人間のパーツは手です。手をモチーフにした怪人、怪獣も好きです。そんな訳で手だけで現れる幽霊の曲を作ってみました。

しかしこのパターンの怪談「びっくりした」ってだけであまり話は広がらないんです。昔話で「雑炊作ってたら天上から手がにょきにょき出てきてお鍋ごと天井裏に持っていかれた」って話がありますがそこまでいくとコメディになっちゃうので却下。そんなとき「幽霊の手、握ってみたらどうなるんだろう」というアイデアが出てきました。幽霊の手にすがるくらいなんだからよっぽど現実に疲れている人だろう。逃げ場がない人なんだろうと思いました。ここまで来れば後はストーリー広げるだけです。

曲はキャンディーズをかなり意識したんですが、いつもの事で「こういう曲作ろう」と作り始め完成してみると全然そうなっていないとwでも気に入った曲が出来上がるんだから面白いです。

マイホーム・オブ・ザ・デッド

土日はずっと子供といるから更新出来ない確立が高いです。うーん困ったもんだ。

今日は3の七曲目

「マイホーム・オブ・ザ・デッド」

これはもうお分かりだと思いますがゾンビ物やろうと作った曲です。ホラーを扱っているんですからゾンビ物は避けて通れないだろうと作り始めました。数々のゾンビ映画ありますが一番印象に残っているのはやっぱりジョージ・A  ・ロメロ監督の「ゾンビ」です。ゾンビだらけの世界で生き残るためにショッピングモールに立てこもる映画です。ホラー映画って「絶対こんな状況イヤだ」っていうシチュエーションばかりですが「ゾンビ」だけは違います。無人となった巨大ショッピングモールでやりたい放題。すごくワクワクします。この作品見た人はみんな「もしゾンビが発生したら」という妄想するんじゃないでしょうか。

この曲、そんな妄想を元に作り始めたんですが実際ゾンビを出すより妄想の中だけで完結する方が面白いと思いました。あと対ゾンビ武器に銃は必須です。現代日本で銃を入手するのは困難なので舞台は限られてきます。選んだのは熊や猪が現れるような田舎の村。そういうところなら地元猟友会ぐらいあるだろうと。閉鎖的な村で村民をゾンビに見立てて殺しまくる。なんか似たようなシチュエーションあったような・・・と思い出したのが「津山三十人殺し」です。これで歌詞のイメージは大体決まりました。

曲はもともとの「ゾンビ」がダリオ・アルジェント監督作品で有名なイタリアのプログレバンド「ゴブリン」が担当しているので久々にプログレ意識した曲にしてみました。当時のホラー映画の雰囲気を出せていたらいいのですが。

コックリちゃん

昨日、ブログ書いたあとゲームをしてたら午前4時になってしまいました。寝ようと思ったら上の子供が起きてしまい、なんか話しかけてきたり抱きついてきたりして寝かせてくれませんでした。という訳で徹夜になってしまいクラクラしています。

それはそうと3の六曲目

「コックリちゃん」

これはもう完全に曲名から作った曲です。コックリさんネタで曲つくろうとあれこれ考えてもっとフランクに「ちゃん」呼ばわりしたらどうかなと。本当にただそれだけの曲です。出オチもいいところですが、レトロでポップな曲調と「はやく呼び出してくれないかなー」とワクワクしているという風にイメージを広げられ、なんだか面白い曲になったと思っています。

お岩さん、花子さん、カシマさん、ヒキコさんなど敬称付きの怪異って結構多いですよね。コックリさんなんてただの降霊術なのにです。これって敬わないと不敬罪で祟られるという恐怖心からだと思うんですが、こういうのって日本だけなんでしょうか?恐れと共に親しみも感じられてすごく好きです。

この曲、私はアルバムに収録されている小曲というイメージでした。あえてそういう曲にスポットライト当てるのも面白いかもと思いPV化したんですが妙に好評で代表曲の一つになってしまいました。動画の威力を再確認した曲でもあります。

ラブ・クラフト

今日の曲はこれ!イキグサレ唯一のカヴァー曲

「ラブ・クラフト」

原曲はJホラーの始祖にして小中千昭先生のデビュー作「邪願霊」というビデオ作品の挿入歌です。挿入歌というかもう一つの主役といってもいいでしょう。新人アイドルがデビューするまでのドキュメンタリーという体でストーリーは進んでいきます。デビュー曲が決まりますが実はその曲、作曲者不明で・・・というお話です。しかし、小中先生これがデビュー作なのに曲名に「ラブ・クラフト」とか「インスマスにさよなら」って。最初から飛ばしています。さらに自分で作詞作曲振り付けまでやっているんですから恐れ入ります。

この作品を初めて見たのは高校やめた頃でしょうか。前に書いたようにすごい衝撃でした。その十数年後、一ノ瀬屠殺彦が「ぜひ見てもらいたいビデオがある」と持ってきたのが「邪願霊」。「おっ邪願霊じゃん!メイキンラブクラ~フト」と歌ったら「何でしってんすか!?」と驚かれましたw「邪願霊」がJホラーに与えた影響、小中先生の事など教えてもらいさらにこの作品が好きになりました。そしてイキグサレでラブ・クラフト、カヴァーするというアイデアが出てきて一ノ瀬屠殺彦も「やってやって!」と言います。商業じゃないとはいえ無断でカヴァーするのは良くないと思い小中先生にメールでお伺いを立てて了解を頂きました。

小中先生もベーシストということでスラップベースがブリブリいっている感じにアレンジ。後、聴き所は間奏。幽霊の声がはいったレコードって話良くあるじゃないですか。この曲では間奏で幽霊の声にソロをとらせています。このアイデアは結構面白いと自分では思っていますw

無荒様

はい!今日はこの曲!3の四曲目

「無荒様」

「赤い服の女」の時にも触れた脚本家、小中千昭先生。Jホラーの礎となった「小中理論」のほかにも大きな特徴があります。それは「どんな作品にもクトゥルフネタをぶっこんで来る」です。ウルトラマンティガのラスボスをクトゥルフ邪神にしちゃったり「HTE ビックオー」というロボットアニメでラブクラフトの小説「インスマスを覆う影」を再現しちゃったり「こんなことしていいの?」と思うようなことをします。私も見習ってもう一個クトゥルフ物作ろうと思いました。

クトゥルフ神話、ラブクラフトをはじめ色々読みました。設定や世界観、邪神たちは魅力的ですが日本人は恐怖は覚えないんじゃないでしょうか?ラブクラフトはタコやカニなどの海洋生物が嫌いでそれをモチーフとした怪物が現れますが日本人にとってタコやカニは美味しい食材かユーモラスでコミカルな存在で愛すべき生物です。円谷英二と水木しげるのおかげで怪獣、妖怪も親近感ありますし八百万神のおかげで訳わかんない神様いても不思議に思わないし。怪獣物には出来ますがホラーにはなりにくいと思います。

そこで思いついたのが洒落怖でよくある土着信仰的な香りのする怪談。八尺様とかコトリバコとかです。思いついたのは田舎にある由来がよく分からない神社。祭っている神様は実は・・・というもの。クトゥルフを九頭竜と表記して日本と絡めたネタはどっかで見た気がしたので却下。大体クトゥルフって重要な神様じゃなかったりします。やっぱ一番カッコイイ神様ニャルラトテップで行こうと思いました。別の言い方でナイアラルトポテプ。「貌の無い神」という二つ名もあります。じゃあ「ナイ」は「無い」だろうと。「アラ」は「荒」。荒神様やアラハバキといった出生不明の神様のイメージもつきます。それで出来たのが「無荒様」。ここまで来たら後はノリノリで曲作るだけです。

神社という事でお祭りを意識した曲にしました。やっぱ太鼓とかいれた和風ロックってなんか気持ちが乗ってきますねw

エレベーター

こんばんはです!今日、紹介する曲はこちら!3の三曲目

「エレベーター」

これも怪談でよくあるエレベーター物です。私にしては珍しくまんまストレートにエレベーターにまつわる怖い話やっています。誰もいないのに止まるとか一人で乗ったはずなのに誰かいるとか定番のエピソードをこれでもかと詰め込んでいますw

そしてエレベーター物の花形はやっぱり異世界でしょう。エレベーターに乗って扉が開いて出たらまったく知らない世界に来てしまったと言うもの。なにかこの手の話には根源的な恐怖があるように思います。というか実際のエレベーター自体、仕組みを知っているし慣れているから慌てふためく事は無いですけど、扉が閉まって暫くして開くと最初と違った風景があるという現象、なんだか脳が誤作動起こしているような妙な違和感を感じるときがあります。

私、子供の頃エレベーターに乗る時、横の壁にへばりつく癖がありました。これはジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」でヘリボーイがエレベーターでゾンビに襲われるシーン。あれの対策として扉が開いてゾンビがなだれ込んできても隙を付いて逃げれるようにしていました。実は今でもちょっとエレベーター怖いですw