亡霊軍艦

子供が夏休みに入って色々イベントがあって結構時間が喰われています。でもまあ何とかなるでしょう!

曲紹介、5の六曲目

「亡霊軍艦」

私、小さいころからゴジラ大好きです。ウルトラマンも好きでしたが断然ゴジラ派でした。ウルトラマンシリーズは頻繁に再放送していたので視聴する機会はあったのですがゴジラ映画は滅多にやりません。DVDはおろかVHSも無い時代ですから、たまにゴジラ映画やったら見逃してはなるものかとテレビを食い入るように見ていました。あとはひたすら怪獣図鑑を見て空想妄想するばかり。子供のころの私は常にゴジラ欠乏症。こんな状態ですから音楽まで認識する暇はありませんでした。

小学校のころ「ゴジラ伝説」というアルバムが出ました。ゴジラ映画の音楽をシンセでアレンジしたアルバムです。貸しレコード屋(まだCDじゃない時代です)で借りて聴いて「怪獣総進撃マーチ」と「怪獣大戦争マーチ」にぶっ飛びました。ゴジラの音楽こんなにかっこよかったんだと。中学になりお小遣いに余裕ができると東宝特撮のレコード買いあさり名画座に東宝特撮三本立てを見に通いました。今だったらDVD買えば終わるような情熱、この時代はここまでしないと満足できなかったんですwこの時期、伊福部昭氏の変拍子や不気味さ、怖さを表現した音楽に触れ続けていたのは後にプログレに開眼する下地を作っていたようにも思います。

はい、こんなにも思い入れのあるゴジラ音楽=伊福部音楽、今回5のコンセプト「音楽を意識する前に聴いていた音楽」から外せるわけがありません。ガッツリ、伊福部風ではなく伊福部音楽を作るつもりでいきました。そしてやっぱり作りたいのは血湧き肉踊るマーチでしょう!そうなると歌詞は怪獣じゃなくって戦う方の自衛隊やスーパー兵器がいい。東宝特撮の主役級兵器といえば「海底軍艦」の轟天号。歌うのはイキグサレ。じゃあ謎の科学力じゃなくてオカルトパワーで戦う兵器。幽霊船になった戦艦で行こう!とノリノリで作りました。海の怪物を駆逐し幽霊船同士の海戦など妄想してワクワクものでしたw

この曲、PVもあるんですが「戦艦一隻じゃ勝てないだろ」みたいなコメントを頂いています。オカルトパワー舐めてはいけません。だって物理攻撃きかないんですよ。幽霊だから。こっちの攻撃は気合かなんかで当たると思いますw

雪女

息子が二、三日前から何で知ったのか「こっくりさん」をやりたがってうるさいです。「本当にお化けが来るわけじゃないんだけど嫌な事やいつもと違うことが起きるとお化けと結び付けて考えちゃうでしょ」なんていっても伝わる分けなく「本当に来ないならいいじゃん」「パパも怖いの好きでしょ!」と言います。うーん困ったもんだ。

そんなこんなで曲紹介。5の五曲目

「雪女」

妖怪って不可解な現象や自然現象そのものだったりします。「家鳴り」や「山彦」「蜃気楼」なんかも妖怪として扱われていました。キャラクター化した妖怪を現象として捉えなおすのは非常に面白いです。妖怪の正体を科学的に解明!なんて野暮な事ではなくて現象に対面した人の心の動き。恐怖や不思議に思う気持ちが妖怪を形作っているんだなと見えてきます。キャラクター化、妖精化した妖怪を再び恐怖の対象にするにはまずは「現象」にまで戻す必要がある気がします。

で、「雪女」。妖怪の中でもキャラクターが立っている妖怪です。いろんな作品でもヒロインに抜擢されています。これだけキャラが立っちゃうと元の現象が見えにくいですがある本に載っていました。雪山で遭難し凍死寸前になると逆に非常に暑く感じるらしく服を脱ぎ捨て裸で発見される事があるそうです。こんな雪山で裸になるなんてよっぽど良い女がいたんだろうという所から雪女が出来たらしいです。なるほど雪山で男をかどわかし凍死させる美女。イメージ通りです。しかしもう一つ雪女にはイメージがあります。純愛を貫く可愛らしい女性というイメージ。これは小泉八雲の雪女から来ていると思います。怖くて美しくて悲しい完璧なストーリーですからイメージも引っ張られちゃうってもんです。

そこで私が持っている雪女のイメージ、現代に置き換えて現象として復活させようと思いました。雪が降っていることを理由に好きな人を家に引き止める女性。交通機関が止まるほどの雪ならば被害が出る事も知っている。でも自分にとってはロマンチックで綺麗な雪。なかなか上手い事、現象としての雪女を表現できたんじゃないかと思います。

桜の木の下には

どうもです!ここ二、三ヶ月ずっとやっていたゲームようやく全クリできました。これで新アルバムの製作に入れます。イベントに間に合うかなぁ・・・。とか言いながら間に合わせるんですけどね、私。

はい、そんな訳で曲紹介。5の四曲目

「桜の木の下には」

このアルバム作っていた頃なんか世間では卒業ソングが流行っていて「桜がどうたらこうたら」という歌詞の歌が耳に良く入ってきました。じゃあ俺も作ってみるかと作ったのがこの曲です。でもイキグサレなんですから「希望の未来へ」とか「ありがとう」とか言いません。「桜の木の下には死体が埋まっている」という都市伝説から始まり学校系怪談のお約束をあれこれ詰め込みました。せめて曲は爽やかにしようとボサノバ風にしてみました。学校系怪談のネタ、この曲で一気に消費しちゃったのは、もったいなかったかなぁとちょっと後悔していますw

魔女っ子サッちゃん

さてさて。また間が空いてしまいましたが曲紹介です。5の三曲目

「魔女っ子サッちゃん」

私が幼稚園のころ家の隣は金魚屋さんでそこのお兄さんに私は凄くなついていました。お兄さんからもらった石原豪人さんのイラストで有名な「世界妖怪図鑑」は表紙は破けてもうボロボロなんですが今でも宝物です。いつものようにお隣に遊びに行った時、お兄さんにカセットテープで聞かせてもらった曲があります。凄く不気味な曲でしゃがれた声でなにか言ったり歌ったりしています。「誰が歌ってんの?」と聞くと「魔女だよ」とお兄さんは言いました。この曲はダリオ・アルジェント監督の「サスペリア」のメインテーマでした。

小学生になるとテレビの映画枠で「サスペリア」放送され始めました。今では考えられない事ですが結構エグイホラー普通にテレビでやっていたんですよ。子供の私は「サスペリアのテーマ」聴きたいがために怖いの我慢して見ていました。このころからプログレ野郎だったんだなぁと笑ってしまいますw

と言うわけで5のテーマは「音楽を意識する前に聴いていた音楽」。サスペリアのテーマは外せません。とはいえ大人になった私、アルジェント作品にも音楽担当のゴブリンにも思い入れが出来てしまっているので素直に作れませんでした。「サスペリアのテーマ」作るつもりが「サスペリアⅡ」のテーマになってしまいました。

私がアルジェント作品で一番好きなところは派手に殺すシーンもいいんですが殺す準備をしている所です。黒い皮手袋をはめた手だけ映してそれがいそいそと道具の手入れやジンクスなのかお呪いなのか知らないけど紙を切ったりよく分かんない事をしています。それを結構じっくり撮るんです。バックにゴブリンのテーマ曲流しながら。ですからサッちゃんも意味あるんだか無いんだかよく分からない手間の掛かる作業をしていますw

「エロイムエッサイム」や「エコエコアザラク」のような魔女っこじゃない魔女の呪文を入れたかったんですが思いつかなかったので持っている本、片っ端から調べてみたらありました。グリヨ・ド・ジヴリという人が書いた「妖術師・秘術師・錬金術師の博物館」という本に十三世紀の吟遊詩人が書いた物語に出てくる悪魔を呼び出す呪文というのが。なんかカッコイイので引用しました。とりあえず興味があることの資料は集めておくもんですね。

コンピュータ武者

はい!さっさと行っちゃいます!5の二曲目

「コンピュータ武者」

現代的な怪談によくあるパターンの一つにPCやスマホが出てくるのがあります。覚えの無いフォルダや画像ファイルを見つけて開いてみると・・・ってやつです。これって私のイメージだと霊体なんだから機械に入って直接プログラムいじっていると思うんですが見える人が見たらスマホ、ポチポチやっていたりPC、カタカタやっているように見えるんじゃないかなぁと。すごく間抜けに見えると思います。

間抜けな幽霊といえば以前見たホラー作品でJホラーっぽい雰囲気だったんですが落ちにいきなり落ち武者が出てきてすごーく間抜けでした。それでパソコン、カタカタやっている落ち武者というイメージが出来ました。これはもう徹底してコミカルな曲にしようと。なかなか笑える曲になったと思います。曲名は昔の「みんなのうた」の曲「コンピュータおばあちゃん」からとりました。

お岩さんロック

殺人猛暑のこの頃、皆さんどうお過ごしでしょうか?私は体調崩し夏風邪です。でもビール飲む元気あるから平気でしょう。はい、というわけで曲紹介、5の一発目

「お岩さんロック」

私は子供のころからお化け好きだったので「口裂け女」や「人面犬」などの都市伝説も娯楽として受け止めていました。しかし一つだけ本気で怖かったものがあります。私と同年代の人は皆そうだと思います。四谷怪談のお岩さんです。名前を口にしただけで呪われる、頭で考えただけで呪われるなんて言われていました。あのルックスも相まって本当に怖かったです。大きくなってから調べて鶴屋南北の完全な創作だと知っても畏怖の念は消えません。江戸時代からずっと貞子が現れるまで幽霊の代名詞であり続けたスーパースターですから。

今回のアルバムのコンセプトは「子供のころ聴いた音楽」。お岩さんは音楽じゃないけど子供のころ怖かった物ってのもアリかなと。そしてなにより実しやかに語られる映画やお芝居の話。四谷怪談やるのならお岩稲荷にお参りしないと祟られるという話。私も日本のホラー作家の端くれなんですから是非「四谷怪談」題材にした曲を作ってお岩稲荷にお参りに行きたかったんです。なんていうかホラー作家になるための登竜門、自分がホラー作家だと宣言するために必要な儀式だと感じていました。

お岩さんをイメージした曲を考えたら何故かロックが出てきて非常に似合っている気がしました。歌詞はお岩さんに憧れている子の話です。曲が出来てから「岩」と「ロック」が掛かっている事に気付きました。

さて妻と赤ん坊だった長男と一緒にお岩稲荷にお参りを済ませたのですが安心は出来ません。なんてったってあのお岩さんとコンタクトとったんですから。まったく何も無いとは思えません。お参りした直後に店舗が空き巣被害にあったり私の財布置き引きされたりしましたが金銭的な損失は祟りとは言いがたく単純に自身の迂闊さでしょう。それを祟りに結びつける事はありませんでした。しかし次の出来事。隣のマンションの住民の方から電話があり飼い猫が家のビルの屋上に飛び降りてしまったという事。私はピョンと飛び降りた猫が戻って来れずニャーニャー鳴いているのを想像しました。屋上に上がってみたら猫の姿は見えません。飼い主の方に聞いてみたら「あ、ここではなく下の・・・」と言います。下と言ったら私の自宅のベランダしかありません。見てみたら黒猫が死んでいました。こんな事ってあるんでしょうか。

死んだ猫は可哀想だったし飼い主の方も目に涙を浮かべていて非常に気の毒でした。しかし私は心の中で「ああ、これで本当に俺はホラー作家になったんだ」と確信していました。

イキグサレ5

はい!今日からはこのアルバムの紹介です!

「イキグサレ5」

前回の4でアルバム全体のコンセプトを最初に決めて作るという方法が上手くいったので、今作も同じようにコンセプトを最初に決めました。今回のコンセプトは「音楽を意識する前に聴いていた音楽」です。ジャンルや楽器なんかまったく意識しないで子供のころ聴いていた音楽。影響を受けたのはキングクリムゾンをはじめとしたプログレやジャズフュージョンですがそれ以前に聴いていた自分のルーツ、子供のころに聞いて未だに頭に残っている音楽。それを再現しようと思いました。正確にはそれを聞いていたときの自分が感じた雰囲気です。

しかし、今回このコンセプトワークは失敗してしまいました。製作中、実生活でこのコンセプトを上回る出来事が起きたからです。一つは長男が生まれた事。生活が大きく変わり私の感覚や考えにも影響があったと思います。そして東日本大震災。さらにニコニコ動画でのイキグサレのプチブレイク。こんな事が立て続けに起きて当初のコンセプト通りに作る事が困難になりました。他に作りたい事が出てきちゃったんです。このアルバムの曲たちも気に入っている曲ばかりなんですが製作当時の出来事が強く印象に残ってしまってします。

空き地のラブソング

さて。4の最後の曲です。

「空き地のラブソング」

これは「落下ガール」と対照的にかなり練りに練った曲です。ずっと同じ所にいる地縛霊。子供の時から見ていて大人になってもいる。なんだか馴染みになっている幽霊っていうイメージが最初にありました。で、今作のコンセプトはラブソング。これは地縛霊に恋した人の曲にするべきだろうと。そうなると子供時代のエピソードから大人になってからまでの事を語る必要があってかなり長い曲になることは予想できました。そんな長い歌詞かけるか不安はありましたが何事も挑戦です。

で、幽霊に恋するってどういうことかと。多分、顔を赤らめて「え、なに言ってんのバカじゃないの」とか幽霊は言いません。恐らくまったくコミュニケーション取れないだろうと思います。3D映像に恋をしてしまったというか。存在する次元が違うんですから。ここらへんの雰囲気は手塚先生のポスターの中の女の子にに恋をしてしまった「風の中のルン」や母親の昔の写真が実体化する映画「さびしんぼう」を参考にしました。なんかこういう本来、恋が発生しない存在の恋っていうのはグッときます。好きなんですねぇw

曲が完成して妻に聴かせたらこっちの思う壺、泣かせる事に成功。自分の勝利を確信しましたw

落下ガール

ようやく子供が寝静まり妻も帰ってきたので晩酌の時間です。飲みながら更新します。4の九曲目

「落下ガール」

この曲はこのアルバムの中で一番最後に出来た曲です。九曲作った時点で本当にネタ切れを起こしまして。いくら考えても何も出てこない状況になりました。仕方が無いのでまったく完成形が見えないまま曲を作り始めました。こういう時って自分の手癖や基本能力がモロに出ます。仕込むネタも無く奇抜なアイデアも無い状態ですからごまかしが利きません。でも手癖っていうのは癖になるくらい自分が好きな要素な訳で師匠が言っていたんですが「適当な部分こそ一番自分が出る部分」。これは事実だと思います。手癖と知識だけで曲をまとめていくといつの間にか凄く自分好みの曲が出来上がっていきます。

歌詞はテーマとして「投身自殺」が出てきましたが、まったく纏まりせん。あとはラブソング。ストーリーがないまま取りあえずメロディにそれらしい単語を当てはめていきます。そうすると不思議な事に最初のフレーズさえ出てくればスルスルとストーリーが紡ぎだされます。曲も歌詞も自分で作ったって感覚は無く本当に自然に出てくるって感覚です。

こういう風に出来た曲は自分にとって凄く新鮮で「俺、こんなの作れるんだ」と思います。かなり気に入っている曲です。

 

祟り神

今週は夏バテなのか更新が滞ってしまいました。ちょっと気合入れなおして頑張っていきます!4THアルバムも大詰めです。八曲目。恐らく一番人気の曲です。

「祟り神」

妻と飲んでいる時、「末代まで祟ってやる」というフレーズがテレビから流れました。すると妻が「末代まで祟るっていい言葉だよね~」と言います。なに言ってんだこいつと聞いてみると「だって末代まで続く事が前提になっているでしょ」との事。なるほどと思いました。結婚しない事や子供を作らない事が選択肢としてある現代では末代や孫の代がある事が前提として行われる呪いや祟りは一種の祝福のようにも思えます。アイデア頂きました。

最初は「祟ろうとしているのに結果的に相手を助けちゃうドジっこ幽霊」というコミカルな物を考えていました。しかしアルバムのコンセプトはラブソング。ちょっと恋愛要素も加えようとしました。「じゃあこの幽霊は憑いてる人が好きで・・・だったら生前は付き合っていたという事にして・・・」なんてやっていたらいつの間にか凄く切ないラブストーリーが出来上がっていました。自分でもビックリです。ラブストーリーなんか作れないと思っていましたからw

曲はストレートにいい曲をつけようと思いました。小手先のテクニックや変化球ではこの歌詞に負けちゃうと考えたからです。かくしてイキグサレでは珍しい捻くれていないストレートなラブソングが出来ました。PV作ったら割りと人気でたのでまたこういう曲作ってみたいのですが、作ろうとすると出来ないんですよね、これが。