スポコン(スポンティニアス・コンバッション)

はいはい!今日は酔っております。3の2曲目です。

「スポコン(スポンティニアス・コンバッション)」

「宇宙船」という特撮雑誌があります。今は戦隊やライダーのイケメン雑誌のようになっていますが昔は硬派な特撮雑誌でした。私、小学生のころからこの雑誌購読していました。昔の見たこと無い特撮作品やまだ日本で公開されていない作品、自主制作映画まで情報が載っていて私にとっては宝箱のような雑誌でした。クトゥルフ知ったのもダイコンフィルム知ったのもこの雑誌です。また、いち早くフィギュアを取り上げていて「無い物は自分で作ればいいんだ」と思い知らされました。あと大の大人がゴジラやウルトラマンを大真面目に語っているのが面白くて。こういう大人になりたいなと思っていました。

あるとき「悪魔のいけにえ」で有名なトビー・フーパー監督の最新作が紹介されていました。「スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火」という作品です。その紹介記事に「略してスポコン」って書かれていて「なに下らない事を」と思ったんですがずっと頭に残っていました。

3のネタ出し作業の時、ふとこの事を思い出しました。3のコンセプトの一つ昭和のアイドル歌謡。「スポコン」はバッチリ合っていると思いました。「巨人の星」などでよく使われる目や背中に炎が出る演出、これに人体発火現象からませれば面白い曲が出来るだろうと。そしてもう一つ加えたい要素がありました。スポコン物でもイキグサレが歌うんだから少女スポコンだろうと。少女スポコンといったら「エースをねらえ!」だろうと。

私、「エースをねらえ!」大好きで、特にアニメ版。出崎監督のいわゆる出崎演出の素晴らしさ。凄まじい緊張感です。見ていたのは小学校低学年くらいでしょうか、しょっちゅう再放送していたのでよく見ていました。主人公、岡ひろみが様々な試練を乗り越えて一流のテニスプレイヤーになっていくんですが試練が凄すぎて。小学生の私、すでに加虐的、サディスティックな目で見ていました。リョナというジャンル嫌いではないです。恐らく「エースをねらえ!」で芽が生えたと思いますw

曲の方も少女スポコン物意識して作ってみたんですが始めての試みとしてはいい感じの曲になったと思っています。というか自分で聴いても燃えてきますw

赤い服の女

はい今日は3のオープニングナンバー

「赤い服の女」

三十年近く前、私が高校生だったころオカルトブームというか怪談ブームみたいな物がありました。テレビでも頻繁に怪談特集や心霊写真特集やっていて私にとっては嬉しい時期でした。岡田由希子さんの自殺、歌番組に現れた幽霊騒動もこの頃です。恐らくこのブームの火付け役は稲川順二さんだと思います。かの有名な名作怪談「生き人形」をテレビで話したのがきっかけだったと。当時の友人とも怪談話で盛り上がり「うおーこえー」とか言っていたんですがあることに気が付きます。「そういや怪談的な怖さをあつかったホラー映画ってないな」と。当時のホラーはゾンビ物やジェイソンに代表されるスラッシャー物が主で怪談のような湿っぽくゾッとするような恐怖を表現しているものは皆無でした。強いてあげれば「あなたの知らない世界」の再現ビデオですがお昼のワイドショーの一コーナーですからそれほど怖くなかった記憶があります。そういう本気で怖い映画ないかなーなんて思っていました。

そんな時、暇をもてあましてなんとなくビデオ屋で借りたビデオ作品見てビックリします。完全に怪談的恐怖を再現していたからです。「なんだこりゃ!完璧じゃねえか!」となり、何回も見返しました。「邪願霊」です。その後、「女優霊」などを経て「リング」が公開されJホラーというジャンルが確立されていきました。

十数年後、異様にJホラーに詳しい一ノ瀬屠殺彦と出会いJホラーの話をしていると「邪願霊はJホラーの始祖だけどもう一本重要な作品がある」と教えてもらったのが「ほんとにあった怖い話 第二夜」に収録されている「夏の体育館」という作品。ストーリーだけ見ればなんてことはない話。女優の演技力の低さが鼻についてしまうかもしれません。だけど幽霊が登場してからはそんなの全部吹っ飛びます。完璧な幽霊描写です。なんでここにいるのか、なにをしたいのかサッパリですが凄い存在感でゆっくりスローモーションで近づいてくる。これほど恐怖感がある幽霊はそうそういないと思います。この幽霊は赤い服を着ています。

この作品を撮ったのは鶴田法男さんという監督なのですが、この幽霊描写が大好きすぎる監督さんがいまして。私が大好きな黒沢清監督です。ゆっくりスローモーションで近づいてくる赤い服の女というシーンを三回も撮っています。(回路、DOORⅢ、叫び)私もそのシーン再現したくて「赤い服の女」のPV製作しました。

そして、「洒落怖」で有名な大阪、泉水の広場に現れる赤い服の女の話。これも大好きです。こっちの赤い服の女はアキちゃんって名前らしいです。

この赤い服の女の幽霊、なんか私にとってすごくリアル感があります。映像作品の登場人物(?)で洒落怖のほうも創作の可能性があるにも関わらずです。迂闊な事したら呪われそうな迫力を感じましたので大真面目にいい曲を作りましたw

イキグサレ3

今日からはこのアルバムの紹介です。

「イキグサレ3」

前作2で確立したイキグサレの基本フォーマット「ポップな曲で怪談を歌う」。これをさらに完成させようと作り始めました。2は結果的に「ホラー短編集」のようになっていましたが3は意識的に「ホラー短編集」を作るつもりで製作しています。

この時期、一ノ瀬屠殺彦としょっちゅう遊んでいていつも酒飲みながらホラー映画みていました。奴の面白い所の一つにJホラーを系譜的に捉えていて「この作品で確立された幽霊描写がこの作品に受け継がれて・・・」と色々説明してくれました。Jホラーの基本となった脚本家、小中千昭先生が提唱する「小中理論」というのも教えてもらい3はここら辺の影響が色濃く出ていると思います。

2はアイドル路線に舵を取るきっかけとなったPerfumeや渋谷系を意識していましたが色々聴いてみた結果、自分が一番しっくりくるアイドルソングはキャンディーズらへんのかなり古いものみたいです。それで意識的にレトロな感じがする昭和的な曲にしようと考えて作りました。

明日からは各曲の説明をしていきます。

ヘルアース

さあ続けて行っちゃいます!2のラストナンバー

「ヘルアース」

皆さんご存知だと思いますが「エヴァンゲリオン」や「シン・ゴジラ」で有名な庵野監督。私は自主映画時代のダイコンフィルムから追いかけていたんですが庵野監督の好きな所の一つに「最初のアイデアは非常に下世話で志が低い」と言う物があります。「トップをねらえ」は「エースをねらえ」のパロディでロボット物やろうという物。「ナディア」も「タイムボカン」や「ブルーノア」のパロディ。「エヴァンゲリオン」だって学園ロボット物を最初はやろうとしていたのが分かります。しかし「本気で攻めてくる敵はなにをしてくるか」とか「本気の殺意の前に主人公は何をするか」とかリアリティを追求し映像で緊迫感を演出し何だか凄い物になってしまいます。私はこの手法が大好きで最初のアイデアは下らなければ下らないほど良いと思っています。

この曲「ヘルアース」も最初は映画「ヘルハウス」のパロディとして考えていました。「悪魔の住む家」とかのいわゆる呪われた家物です。家についていたのが街について国についてとお得意の規模を大きくして笑いを取るのを考えていました。でもその規模が地球になったとしてなんでそんな事するの?となりました。死んでいるんだから世界征服とか関係ないし。そうなるとやっぱり愛しかないんですよ。好きな人をずっと見ていたいという理由以外ないんです。アイドルですから対象は恋人。まだ親子や夫婦を語れるほど自分は熟成はしていないと判断しました。規模を大きくして地球に取り憑こうかなーなんて考える余裕があるんだから突発的な事故ではない。恐らく病床についている人。そして幽霊になっても会いたい人がいる。その人は見舞いに来るぐらいの仲だろう。そんな人が愛する人にアクションとらないとは考えにくい。そこでお見舞いに来てくれた彼氏にずっとベットで寝ていたときの妄想を語り始めます。「私が化けになったら」と。

この曲の前に「どうか どうか」と言う曲があります。死後の世界を否定する曲です。この流れで「死後の世界なんてないのに哀れだな」と思うのも「これだけ思っているんだから幽霊になるよ」と思うのも聴いていただいた方の自由です。どちらでも正解だと思います。ただこの人は好きな人が悲しむのが嫌なんだなと思って頂ければ幸いです。

余談ですが2完成したらへんに妻とBerryz工房のDVDを見ていました。ライブではなくメンバーがキャッキャしているだけの映像なんですがなんか怪談の話題になって。みんな「キャー」とか「やめようよ」とかいっている中で菅谷さんが「普通に考えればいるんだけどね」といっていました。「普通に考えればいない」と思っていた私この発言聞いてなんか泣きそうになりました。

どうか どうか

昨日も疲れて寝てしまいました。一日一ブログって結構きついですねー。でもやります!出来れば今日中に2の曲紹介終わらせるつもりで行きます!

さあラストスパートです!九曲目

「どうか どうか」

この曲が作られた経緯はイキグサレの中ではちょっと特殊です。実はこの曲、次の2の最後の曲「ヘルアース」のアンサーソング(既に存在する歌に対する返答として作られた歌のこと。)として作りました。次の記事で書きますが「ヘルアース」はパッと見、死後の世界に希望を持っている歌に思えます。その希望を打ち砕くため泣き叫びながら「死後の世界は無い」と歌うのが「どうか どうか」です。

元のアイデアはもうちょっと軽いものでした。この時期、家の店舗にネズミが出没するようになって駆除業者さんに頼んだ事がありました。武器は粘着シートと毒餌。説明によると「この毒はまず視神経を潰す。そうすると光を求めて明るい所に出てきて死ぬ。屋内で死んで死体腐ったりしたら大変ですからね。」と言う事。被害や衛生の事を考えると可愛そうとは思いませんがなんか「恐ろしいな」と思いました。でもネズミやゴキブリやシロアリに呪われた駆除業者さんの話、聞いたことないし魚に呪われた板前さんや釣り人の話も聞いたことありません。そこらへんから攻めてちょっと笑えるような話にするつもりでした。

しかし「ヘルアース」が先に完成してしまいます。どうしても「ヘルアース」の前に死後の世界を否定する曲が必要だと感じました。そこで駆除業者さんネタを使いました。なんか死の考察というか自分の存在の危うさというか、こういった話の恐怖感は幽霊や怪異とは違ったものがあります。こちらの方が怖いと感じる方も多いと思います。私もそうです。そりゃあもう懇願してすがりつくくらい怖いです。なぜこの曲がサンバになったのかはよく分かりませんw