殺人猛暑のこの頃、皆さんどうお過ごしでしょうか?私は体調崩し夏風邪です。でもビール飲む元気あるから平気でしょう。はい、というわけで曲紹介、5の一発目
「お岩さんロック」
私は子供のころからお化け好きだったので「口裂け女」や「人面犬」などの都市伝説も娯楽として受け止めていました。しかし一つだけ本気で怖かったものがあります。私と同年代の人は皆そうだと思います。四谷怪談のお岩さんです。名前を口にしただけで呪われる、頭で考えただけで呪われるなんて言われていました。あのルックスも相まって本当に怖かったです。大きくなってから調べて鶴屋南北の完全な創作だと知っても畏怖の念は消えません。江戸時代からずっと貞子が現れるまで幽霊の代名詞であり続けたスーパースターですから。
今回のアルバムのコンセプトは「子供のころ聴いた音楽」。お岩さんは音楽じゃないけど子供のころ怖かった物ってのもアリかなと。そしてなにより実しやかに語られる映画やお芝居の話。四谷怪談やるのならお岩稲荷にお参りしないと祟られるという話。私も日本のホラー作家の端くれなんですから是非「四谷怪談」題材にした曲を作ってお岩稲荷にお参りに行きたかったんです。なんていうかホラー作家になるための登竜門、自分がホラー作家だと宣言するために必要な儀式だと感じていました。
お岩さんをイメージした曲を考えたら何故かロックが出てきて非常に似合っている気がしました。歌詞はお岩さんに憧れている子の話です。曲が出来てから「岩」と「ロック」が掛かっている事に気付きました。
さて妻と赤ん坊だった長男と一緒にお岩稲荷にお参りを済ませたのですが安心は出来ません。なんてったってあのお岩さんとコンタクトとったんですから。まったく何も無いとは思えません。お参りした直後に店舗が空き巣被害にあったり私の財布置き引きされたりしましたが金銭的な損失は祟りとは言いがたく単純に自身の迂闊さでしょう。それを祟りに結びつける事はありませんでした。しかし次の出来事。隣のマンションの住民の方から電話があり飼い猫が家のビルの屋上に飛び降りてしまったという事。私はピョンと飛び降りた猫が戻って来れずニャーニャー鳴いているのを想像しました。屋上に上がってみたら猫の姿は見えません。飼い主の方に聞いてみたら「あ、ここではなく下の・・・」と言います。下と言ったら私の自宅のベランダしかありません。見てみたら黒猫が死んでいました。こんな事ってあるんでしょうか。
死んだ猫は可哀想だったし飼い主の方も目に涙を浮かべていて非常に気の毒でした。しかし私は心の中で「ああ、これで本当に俺はホラー作家になったんだ」と確信していました。