あの手を握って

3の曲紹介も佳境に入ってきました。八曲目

「あの手を握って」

最近はあまり見ないですが怪談のパターンで手だけ出てくるのがあります。壁や天井、引き出しやふすまから手がニュッとでてくる奴です。妖怪にも誰も着ていない着物の袖から手がニューっと伸びてくる「小袖の手」というのがいます。私、この手だけの幽霊割と好きです。私が目が好きなのはずっと言っていますが目の次に好きな人間のパーツは手です。手をモチーフにした怪人、怪獣も好きです。そんな訳で手だけで現れる幽霊の曲を作ってみました。

しかしこのパターンの怪談「びっくりした」ってだけであまり話は広がらないんです。昔話で「雑炊作ってたら天上から手がにょきにょき出てきてお鍋ごと天井裏に持っていかれた」って話がありますがそこまでいくとコメディになっちゃうので却下。そんなとき「幽霊の手、握ってみたらどうなるんだろう」というアイデアが出てきました。幽霊の手にすがるくらいなんだからよっぽど現実に疲れている人だろう。逃げ場がない人なんだろうと思いました。ここまで来れば後はストーリー広げるだけです。

曲はキャンディーズをかなり意識したんですが、いつもの事で「こういう曲作ろう」と作り始め完成してみると全然そうなっていないとwでも気に入った曲が出来上がるんだから面白いです。

マイホーム・オブ・ザ・デッド

土日はずっと子供といるから更新出来ない確立が高いです。うーん困ったもんだ。

今日は3の七曲目

「マイホーム・オブ・ザ・デッド」

これはもうお分かりだと思いますがゾンビ物やろうと作った曲です。ホラーを扱っているんですからゾンビ物は避けて通れないだろうと作り始めました。数々のゾンビ映画ありますが一番印象に残っているのはやっぱりジョージ・A  ・ロメロ監督の「ゾンビ」です。ゾンビだらけの世界で生き残るためにショッピングモールに立てこもる映画です。ホラー映画って「絶対こんな状況イヤだ」っていうシチュエーションばかりですが「ゾンビ」だけは違います。無人となった巨大ショッピングモールでやりたい放題。すごくワクワクします。この作品見た人はみんな「もしゾンビが発生したら」という妄想するんじゃないでしょうか。

この曲、そんな妄想を元に作り始めたんですが実際ゾンビを出すより妄想の中だけで完結する方が面白いと思いました。あと対ゾンビ武器に銃は必須です。現代日本で銃を入手するのは困難なので舞台は限られてきます。選んだのは熊や猪が現れるような田舎の村。そういうところなら地元猟友会ぐらいあるだろうと。閉鎖的な村で村民をゾンビに見立てて殺しまくる。なんか似たようなシチュエーションあったような・・・と思い出したのが「津山三十人殺し」です。これで歌詞のイメージは大体決まりました。

曲はもともとの「ゾンビ」がダリオ・アルジェント監督作品で有名なイタリアのプログレバンド「ゴブリン」が担当しているので久々にプログレ意識した曲にしてみました。当時のホラー映画の雰囲気を出せていたらいいのですが。

コックリちゃん

昨日、ブログ書いたあとゲームをしてたら午前4時になってしまいました。寝ようと思ったら上の子供が起きてしまい、なんか話しかけてきたり抱きついてきたりして寝かせてくれませんでした。という訳で徹夜になってしまいクラクラしています。

それはそうと3の六曲目

「コックリちゃん」

これはもう完全に曲名から作った曲です。コックリさんネタで曲つくろうとあれこれ考えてもっとフランクに「ちゃん」呼ばわりしたらどうかなと。本当にただそれだけの曲です。出オチもいいところですが、レトロでポップな曲調と「はやく呼び出してくれないかなー」とワクワクしているという風にイメージを広げられ、なんだか面白い曲になったと思っています。

お岩さん、花子さん、カシマさん、ヒキコさんなど敬称付きの怪異って結構多いですよね。コックリさんなんてただの降霊術なのにです。これって敬わないと不敬罪で祟られるという恐怖心からだと思うんですが、こういうのって日本だけなんでしょうか?恐れと共に親しみも感じられてすごく好きです。

この曲、私はアルバムに収録されている小曲というイメージでした。あえてそういう曲にスポットライト当てるのも面白いかもと思いPV化したんですが妙に好評で代表曲の一つになってしまいました。動画の威力を再確認した曲でもあります。

ラブ・クラフト

今日の曲はこれ!イキグサレ唯一のカヴァー曲

「ラブ・クラフト」

原曲はJホラーの始祖にして小中千昭先生のデビュー作「邪願霊」というビデオ作品の挿入歌です。挿入歌というかもう一つの主役といってもいいでしょう。新人アイドルがデビューするまでのドキュメンタリーという体でストーリーは進んでいきます。デビュー曲が決まりますが実はその曲、作曲者不明で・・・というお話です。しかし、小中先生これがデビュー作なのに曲名に「ラブ・クラフト」とか「インスマスにさよなら」って。最初から飛ばしています。さらに自分で作詞作曲振り付けまでやっているんですから恐れ入ります。

この作品を初めて見たのは高校やめた頃でしょうか。前に書いたようにすごい衝撃でした。その十数年後、一ノ瀬屠殺彦が「ぜひ見てもらいたいビデオがある」と持ってきたのが「邪願霊」。「おっ邪願霊じゃん!メイキンラブクラ~フト」と歌ったら「何でしってんすか!?」と驚かれましたw「邪願霊」がJホラーに与えた影響、小中先生の事など教えてもらいさらにこの作品が好きになりました。そしてイキグサレでラブ・クラフト、カヴァーするというアイデアが出てきて一ノ瀬屠殺彦も「やってやって!」と言います。商業じゃないとはいえ無断でカヴァーするのは良くないと思い小中先生にメールでお伺いを立てて了解を頂きました。

小中先生もベーシストということでスラップベースがブリブリいっている感じにアレンジ。後、聴き所は間奏。幽霊の声がはいったレコードって話良くあるじゃないですか。この曲では間奏で幽霊の声にソロをとらせています。このアイデアは結構面白いと自分では思っていますw

無荒様

はい!今日はこの曲!3の四曲目

「無荒様」

「赤い服の女」の時にも触れた脚本家、小中千昭先生。Jホラーの礎となった「小中理論」のほかにも大きな特徴があります。それは「どんな作品にもクトゥルフネタをぶっこんで来る」です。ウルトラマンティガのラスボスをクトゥルフ邪神にしちゃったり「HTE ビックオー」というロボットアニメでラブクラフトの小説「インスマスを覆う影」を再現しちゃったり「こんなことしていいの?」と思うようなことをします。私も見習ってもう一個クトゥルフ物作ろうと思いました。

クトゥルフ神話、ラブクラフトをはじめ色々読みました。設定や世界観、邪神たちは魅力的ですが日本人は恐怖は覚えないんじゃないでしょうか?ラブクラフトはタコやカニなどの海洋生物が嫌いでそれをモチーフとした怪物が現れますが日本人にとってタコやカニは美味しい食材かユーモラスでコミカルな存在で愛すべき生物です。円谷英二と水木しげるのおかげで怪獣、妖怪も親近感ありますし八百万神のおかげで訳わかんない神様いても不思議に思わないし。怪獣物には出来ますがホラーにはなりにくいと思います。

そこで思いついたのが洒落怖でよくある土着信仰的な香りのする怪談。八尺様とかコトリバコとかです。思いついたのは田舎にある由来がよく分からない神社。祭っている神様は実は・・・というもの。クトゥルフを九頭竜と表記して日本と絡めたネタはどっかで見た気がしたので却下。大体クトゥルフって重要な神様じゃなかったりします。やっぱ一番カッコイイ神様ニャルラトテップで行こうと思いました。別の言い方でナイアラルトポテプ。「貌の無い神」という二つ名もあります。じゃあ「ナイ」は「無い」だろうと。「アラ」は「荒」。荒神様やアラハバキといった出生不明の神様のイメージもつきます。それで出来たのが「無荒様」。ここまで来たら後はノリノリで曲作るだけです。

神社という事でお祭りを意識した曲にしました。やっぱ太鼓とかいれた和風ロックってなんか気持ちが乗ってきますねw

エレベーター

こんばんはです!今日、紹介する曲はこちら!3の三曲目

「エレベーター」

これも怪談でよくあるエレベーター物です。私にしては珍しくまんまストレートにエレベーターにまつわる怖い話やっています。誰もいないのに止まるとか一人で乗ったはずなのに誰かいるとか定番のエピソードをこれでもかと詰め込んでいますw

そしてエレベーター物の花形はやっぱり異世界でしょう。エレベーターに乗って扉が開いて出たらまったく知らない世界に来てしまったと言うもの。なにかこの手の話には根源的な恐怖があるように思います。というか実際のエレベーター自体、仕組みを知っているし慣れているから慌てふためく事は無いですけど、扉が閉まって暫くして開くと最初と違った風景があるという現象、なんだか脳が誤作動起こしているような妙な違和感を感じるときがあります。

私、子供の頃エレベーターに乗る時、横の壁にへばりつく癖がありました。これはジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」でヘリボーイがエレベーターでゾンビに襲われるシーン。あれの対策として扉が開いてゾンビがなだれ込んできても隙を付いて逃げれるようにしていました。実は今でもちょっとエレベーター怖いですw

スポコン(スポンティニアス・コンバッション)

はいはい!今日は酔っております。3の2曲目です。

「スポコン(スポンティニアス・コンバッション)」

「宇宙船」という特撮雑誌があります。今は戦隊やライダーのイケメン雑誌のようになっていますが昔は硬派な特撮雑誌でした。私、小学生のころからこの雑誌購読していました。昔の見たこと無い特撮作品やまだ日本で公開されていない作品、自主制作映画まで情報が載っていて私にとっては宝箱のような雑誌でした。クトゥルフ知ったのもダイコンフィルム知ったのもこの雑誌です。また、いち早くフィギュアを取り上げていて「無い物は自分で作ればいいんだ」と思い知らされました。あと大の大人がゴジラやウルトラマンを大真面目に語っているのが面白くて。こういう大人になりたいなと思っていました。

あるとき「悪魔のいけにえ」で有名なトビー・フーパー監督の最新作が紹介されていました。「スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火」という作品です。その紹介記事に「略してスポコン」って書かれていて「なに下らない事を」と思ったんですがずっと頭に残っていました。

3のネタ出し作業の時、ふとこの事を思い出しました。3のコンセプトの一つ昭和のアイドル歌謡。「スポコン」はバッチリ合っていると思いました。「巨人の星」などでよく使われる目や背中に炎が出る演出、これに人体発火現象からませれば面白い曲が出来るだろうと。そしてもう一つ加えたい要素がありました。スポコン物でもイキグサレが歌うんだから少女スポコンだろうと。少女スポコンといったら「エースをねらえ!」だろうと。

私、「エースをねらえ!」大好きで、特にアニメ版。出崎監督のいわゆる出崎演出の素晴らしさ。凄まじい緊張感です。見ていたのは小学校低学年くらいでしょうか、しょっちゅう再放送していたのでよく見ていました。主人公、岡ひろみが様々な試練を乗り越えて一流のテニスプレイヤーになっていくんですが試練が凄すぎて。小学生の私、すでに加虐的、サディスティックな目で見ていました。リョナというジャンル嫌いではないです。恐らく「エースをねらえ!」で芽が生えたと思いますw

曲の方も少女スポコン物意識して作ってみたんですが始めての試みとしてはいい感じの曲になったと思っています。というか自分で聴いても燃えてきますw

赤い服の女

はい今日は3のオープニングナンバー

「赤い服の女」

三十年近く前、私が高校生だったころオカルトブームというか怪談ブームみたいな物がありました。テレビでも頻繁に怪談特集や心霊写真特集やっていて私にとっては嬉しい時期でした。岡田由希子さんの自殺、歌番組に現れた幽霊騒動もこの頃です。恐らくこのブームの火付け役は稲川順二さんだと思います。かの有名な名作怪談「生き人形」をテレビで話したのがきっかけだったと。当時の友人とも怪談話で盛り上がり「うおーこえー」とか言っていたんですがあることに気が付きます。「そういや怪談的な怖さをあつかったホラー映画ってないな」と。当時のホラーはゾンビ物やジェイソンに代表されるスラッシャー物が主で怪談のような湿っぽくゾッとするような恐怖を表現しているものは皆無でした。強いてあげれば「あなたの知らない世界」の再現ビデオですがお昼のワイドショーの一コーナーですからそれほど怖くなかった記憶があります。そういう本気で怖い映画ないかなーなんて思っていました。

そんな時、暇をもてあましてなんとなくビデオ屋で借りたビデオ作品見てビックリします。完全に怪談的恐怖を再現していたからです。「なんだこりゃ!完璧じゃねえか!」となり、何回も見返しました。「邪願霊」です。その後、「女優霊」などを経て「リング」が公開されJホラーというジャンルが確立されていきました。

十数年後、異様にJホラーに詳しい一ノ瀬屠殺彦と出会いJホラーの話をしていると「邪願霊はJホラーの始祖だけどもう一本重要な作品がある」と教えてもらったのが「ほんとにあった怖い話 第二夜」に収録されている「夏の体育館」という作品。ストーリーだけ見ればなんてことはない話。女優の演技力の低さが鼻についてしまうかもしれません。だけど幽霊が登場してからはそんなの全部吹っ飛びます。完璧な幽霊描写です。なんでここにいるのか、なにをしたいのかサッパリですが凄い存在感でゆっくりスローモーションで近づいてくる。これほど恐怖感がある幽霊はそうそういないと思います。この幽霊は赤い服を着ています。

この作品を撮ったのは鶴田法男さんという監督なのですが、この幽霊描写が大好きすぎる監督さんがいまして。私が大好きな黒沢清監督です。ゆっくりスローモーションで近づいてくる赤い服の女というシーンを三回も撮っています。(回路、DOORⅢ、叫び)私もそのシーン再現したくて「赤い服の女」のPV製作しました。

そして、「洒落怖」で有名な大阪、泉水の広場に現れる赤い服の女の話。これも大好きです。こっちの赤い服の女はアキちゃんって名前らしいです。

この赤い服の女の幽霊、なんか私にとってすごくリアル感があります。映像作品の登場人物(?)で洒落怖のほうも創作の可能性があるにも関わらずです。迂闊な事したら呪われそうな迫力を感じましたので大真面目にいい曲を作りましたw

イキグサレ3

今日からはこのアルバムの紹介です。

「イキグサレ3」

前作2で確立したイキグサレの基本フォーマット「ポップな曲で怪談を歌う」。これをさらに完成させようと作り始めました。2は結果的に「ホラー短編集」のようになっていましたが3は意識的に「ホラー短編集」を作るつもりで製作しています。

この時期、一ノ瀬屠殺彦としょっちゅう遊んでいていつも酒飲みながらホラー映画みていました。奴の面白い所の一つにJホラーを系譜的に捉えていて「この作品で確立された幽霊描写がこの作品に受け継がれて・・・」と色々説明してくれました。Jホラーの基本となった脚本家、小中千昭先生が提唱する「小中理論」というのも教えてもらい3はここら辺の影響が色濃く出ていると思います。

2はアイドル路線に舵を取るきっかけとなったPerfumeや渋谷系を意識していましたが色々聴いてみた結果、自分が一番しっくりくるアイドルソングはキャンディーズらへんのかなり古いものみたいです。それで意識的にレトロな感じがする昭和的な曲にしようと考えて作りました。

明日からは各曲の説明をしていきます。

ヘルアース

さあ続けて行っちゃいます!2のラストナンバー

「ヘルアース」

皆さんご存知だと思いますが「エヴァンゲリオン」や「シン・ゴジラ」で有名な庵野監督。私は自主映画時代のダイコンフィルムから追いかけていたんですが庵野監督の好きな所の一つに「最初のアイデアは非常に下世話で志が低い」と言う物があります。「トップをねらえ」は「エースをねらえ」のパロディでロボット物やろうという物。「ナディア」も「タイムボカン」や「ブルーノア」のパロディ。「エヴァンゲリオン」だって学園ロボット物を最初はやろうとしていたのが分かります。しかし「本気で攻めてくる敵はなにをしてくるか」とか「本気の殺意の前に主人公は何をするか」とかリアリティを追求し映像で緊迫感を演出し何だか凄い物になってしまいます。私はこの手法が大好きで最初のアイデアは下らなければ下らないほど良いと思っています。

この曲「ヘルアース」も最初は映画「ヘルハウス」のパロディとして考えていました。「悪魔の住む家」とかのいわゆる呪われた家物です。家についていたのが街について国についてとお得意の規模を大きくして笑いを取るのを考えていました。でもその規模が地球になったとしてなんでそんな事するの?となりました。死んでいるんだから世界征服とか関係ないし。そうなるとやっぱり愛しかないんですよ。好きな人をずっと見ていたいという理由以外ないんです。アイドルですから対象は恋人。まだ親子や夫婦を語れるほど自分は熟成はしていないと判断しました。規模を大きくして地球に取り憑こうかなーなんて考える余裕があるんだから突発的な事故ではない。恐らく病床についている人。そして幽霊になっても会いたい人がいる。その人は見舞いに来るぐらいの仲だろう。そんな人が愛する人にアクションとらないとは考えにくい。そこでお見舞いに来てくれた彼氏にずっとベットで寝ていたときの妄想を語り始めます。「私が化けになったら」と。

この曲の前に「どうか どうか」と言う曲があります。死後の世界を否定する曲です。この流れで「死後の世界なんてないのに哀れだな」と思うのも「これだけ思っているんだから幽霊になるよ」と思うのも聴いていただいた方の自由です。どちらでも正解だと思います。ただこの人は好きな人が悲しむのが嫌なんだなと思って頂ければ幸いです。

余談ですが2完成したらへんに妻とBerryz工房のDVDを見ていました。ライブではなくメンバーがキャッキャしているだけの映像なんですがなんか怪談の話題になって。みんな「キャー」とか「やめようよ」とかいっている中で菅谷さんが「普通に考えればいるんだけどね」といっていました。「普通に考えればいない」と思っていた私この発言聞いてなんか泣きそうになりました。